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相続財産には借金などの財産も含まれる? 相続放棄などについても解説 (2024.10.11)
相続の対象となる財産は、現預金や不動産などプラスとなる財産がほとんどです。
金融機関からの借入やローンなどマイナスの財産も相続対象となっています。
そのため、故人(被相続人)に借金があると、相続財産がマイナスになる可能性もゼロではありません。
もしトータルでマイナスになった時は、相続放棄も検討が必要でしょう。
相続財産には借金も含まれる
被相続人から相続する財産には、基本的に借金も含まれています。
遺産相続はマイナスの財産も対象になりますので、価値ある財産だけ相続といったことはできません。
もちろん遺産分割協議で話し合うことも可能ですが、借金はトラブルとなりやすいので注意が必要です。
誰がどの借金を相続するのか、全員が納得できるようにすることが求められます。
被相続人に借金があるか判断できない時は、通帳や郵便物を見て調べる必要があります。
通帳・郵便物では分からないケースも多いため、専門家へ相談するのもおすすめです。
財産より借金が多い時は「相続放棄」も視野に
財産より借金の総額が多い場合、相続放棄も検討が必要になります。
ただし相続放棄にはデメリットもあるため、慎重な判断が求められます。
相続放棄とは?
相続放棄は、文字通り財産の相続権を放棄することを言います。
全ての財産を相続しなくなるため、ローンや借金も受け継がずに済みます。
相続放棄は熟慮期間が設けられており、一定期間内は放棄すべきかどうか考えることが可能です。
逆に言えば、相続開始から一定期間内に判断する必要があります。
また借金や財産などを熟慮期間中にしっかり調査することが求められます。
財産の調査が長引くと、相続放棄すべきか判断するための期間が短くなるので注意しましょう。
相続放棄に必要な条件
相続放棄するために必要な条件は次のとおりです。
l相続開始(被相続人の死亡)から3ヶ月以内
l家庭裁判所に相続放棄を申述した
l相続した財産を受け取っていない
相続放棄は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
3ヶ月を過ぎると、熟慮期間延長が認められなければ相続放棄はできません。
また相続財産を受け取った場合は相続放棄できない可能性があります。
相続を放棄すべきか判断できるまでは、財産に手を付けないことが望ましいと言えます。
相続放棄のメリット
相続放棄を行うメリットは、借金などの負債を引き継がずに済む点にあります。
被相続人が多額の借金を背負っていた場合でも、返済する必要がなくなります。
また遺産分割協議へ参加せずに済む他、相続トラブルに巻き込まれる心配もありません。
相続を諦めなくてはいけませんが、ストレスから解放される可能性があります。
相続放棄のデメリット・注意点
相続放棄のデメリットは次のとおりです。
l価値ある財産も相続できない
l後から撤回できない
相続放棄は全財産の相続を放棄するため、価値のある財産も受け取れません。
現預金はもちろん、住まいなどの不動産や家財なども手放すことになります。
また相続放棄が認められた後で撤回することはできません。
もし相続放棄後に多額の財産が発見された場合でも、受け取ることができないので注意が必要です。
相続放棄すべきかどうかの判断基準は?
相続放棄するべきか迷った時は、財産から借金を差し引いた金額をチェックしてみましょう。
もし借金が財産を上回る場合は、相続放棄を検討した方が良い可能性があります。
財産を全部処分しても借金を完済できないため、財産を相続するメリットが薄いと言えます。
ただ、個々のケースによって実情は異なりますので、相続放棄が正解とは限りません。
財産の適切な評価も必要ですので、相続に詳しい士業へ相談してから判断するのがおすすめです。
遺産に借金がある時の対処法
もし遺産に借金がある場合は以下の点に気をつけましょう。
相続するか決める前に財産に手を付けない
相続するかどうか決まる前に、私用で財産を使うことは割けることが重要です。
もし私用で使ってしまうと、単純承認とみなされてしまうリスクがあります。
後々のトラブルを回避するためにも、相続するかどうか確定する前は手を付けないようにしましょう。
相続財産調査を3か月以内に行う
相続財産の調査も3ヶ月以内に実施しましょう。
相続放棄および限定承認については、相続が発生してから3ヶ月以内にしなくてはいけないためです。
期限内での判断を行うためにも、速やかな相続財産調査をおすすめします。
判断できない時は限定承認も検討を
財産がプラスかマイナスか分からない場合は限定承認も検討してみましょう。
限定承認は、相続した財産を限度に借金などの負債も相続することを指します。
もし借金のほうが多かったとしても、プラスの額以上を返済する必要はありません。
ただし相続人が複数いる時は全員の承認が必要です。
まとめ
借金やローンなどマイナスの財産は、相続対象に含まれるので注意が必要です。
もし借金の返済を避けたい場合、相続財産を確定してから判断することが大切です。
その結果マイナスになるようなら、相続放棄も視野に入ります。
それでも判断に迷った時は、相続や借金問題に詳しい士業にアドバイスしてもらいましょう。