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遺言書の作成方法とは?法的要件や作成の流れについて解説 (2026.05.12)
遺言書は相続時のトラブルを防ぐ重要な手段ですが、民法で定められた形式要件を満たさなければ無効となる可能性があります。
特に自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、形式不備により法的効力が認められないケースも少なくありません。
本記事では、自筆証書遺言の作成方法について解説します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、民法第968条に規定される遺言方式の1つです。
遺言者が自ら全文を手書きで作成する方式であり、公正証書遺言と異なり公証人の関与を必要としない点に特徴があります。
自筆証書遺言の大きなメリットは、費用を抑えられる点といつでも作成できる点です。
公正証書遺言の場合は公証人への手数料が必要になりますが、自筆証書遺言であれば紙とペンがあれば作成できます。
一方でデメリットも存在します。
民法で定められた厳格な形式要件を1つでも欠くと、遺言書自体が無効となる可能性があります。
また、自宅で保管する場合は紛失や改ざんのリスクがあり、相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが必要となる点にも注意が必要です。
自筆証書遺言の法的要件
自筆証書遺言を有効に成立させるには、民法第968条に定められた形式要件を満たす必要があります。
必ず自書が必要な部分
民法第968条第1項では、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自書し、押印することが求められています。
全文の自書とは、遺言の内容すべてを遺言者自身が手書きすることを意味します。
パソコンやワープロでの作成、代筆は認められません。
日付については年月日まで特定できる形式で記載する必要があります。
吉日などの表記では日付が特定できないため、遺言書が無効となる可能性があります。
氏名も自書が必要であり、戸籍上の氏名を正確に記載することが望ましいです。
押印については認印でも有効ですが、実印を使用することで本人の意思確認がより明確になります。
財産目録の作成方法
財産目録については、パソコンでの作成や通帳のコピー添付が可能です。
これは民法第968条第2項に基づく取り扱いであり、全文自書の例外として認められています。
ただし財産目録の各ページには署名と押印が必要です。
両面に記載がある場合は、両面それぞれに署名・押印をしなければなりません。
この要件を欠くと財産目録部分が無効となる可能性があるため、注意が必要です。
自筆証書遺言の作成手順
自筆証書遺言を適法に作成するには、準備段階から記載方法まで慎重に進める必要があります。
準備段階
遺言書を作成する前に、まず財産の洗い出しを行います。
不動産、預貯金、株式、動産など、すべての財産を把握し、リスト化することが重要です。
次に相続人の確認を行います。
法定相続人が誰になるのかを正確に把握しておくことで、遺言内容の検討がスムーズになります。
遺言内容の検討では、誰にどの財産を相続させるのか、遺留分への配慮は必要かなどを整理します。
実際の記載方法
遺言を作成する場合、客観的にわかるよう「遺言書」という表題を付けることが一般的です。
本文は、誰にどの財産を相続させるのかを明確に記載します。
不動産であれば登記簿に登録されている不動産情報を記載し、預貯金であれば金融機関名や支店名、口座番号まで特定できる記載が望ましいです。
日付は2026年1月1日のように年月日を明記し、最後に氏名を自書して押印します。
使用する筆記具はボールペンや万年筆など消えにくいものが適しており、鉛筆は避けるべきです。
用紙に特段の指定はありませんが、長期保存に耐えうる丈夫な紙を選ぶことが推奨されます。
訂正を行う場合は、どの部分をどのように修正したのかを明確にしたうえで、訂正箇所に署名をするなど、適切な方法で行う必要があります。
法務局の保管制度の活用
自筆証書遺言は自宅で保管すると紛失や改ざんのリスクがありますが、法務局の保管制度を利用することでこれらの懸念を軽減することができます。
また、この制度を利用した場合、相続開始後の家庭裁判所における検認手続きが不要となります。
検認手続きには時間や手間がかかるため、この点は大きなメリットといえます。
さらに、遺言者の死亡後には相続人などに対して遺言書が保管されている旨が通知される仕組みも整えられています。
保管申請の手数料は1通につき3900円です。
申請は遺言者本人が法務局に出頭して行う必要があり、代理人による申請は認められていません。
まとめ
自筆証書遺言は民法第968条で定められた厳格な形式要件を満たす必要があり、わずかな不備でも遺言書が無効となる可能性があります。
特に遺言書の全文、日付、氏名の自書と押印は必須要件であり、1つでも欠けると法的効力が認められません。
財産目録を添付する場合は各ページへの署名・押印が求められるなど、細かな要件も存在します。
法務局の保管制度を活用することで、紛失や改ざんのリスクを軽減でき、検認手続きも不要になるため、制度利用を検討することが望ましいといえます。
自筆証書遺言の作成にあたって不安がある場合は、弁護士など専門家への相談を検討するとよいでしょう。
