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生前贈与は特別受益の対象になる?遺産分割に影響があるケース・ないケース (2026.07.07)
生前贈与は、将来の相続税負担を軽減する有効な手段として多くの人に利用されています。
しかし、特定の相続人にだけ多額の財産を渡してしまうと、いざ相続が発生した際に特別受益として扱われ、遺産分割協議において親族間のトラブルに発展する恐れがあります。
本記事では、生前贈与は特別受益の対象となるのか、また遺産分割に影響があるケースなどについて解説します。
生前贈与とは?
生前贈与とは、被相続人が生きている間に、自らの財産を特定の他者へ無償で譲り渡すことをいいます。
贈与者と受贈者の双方が合意し、財産の引き渡しを行うことで贈与契約が成立します。
特別受益とは?
特別受益とは、一部の相続人だけが被相続人から受け取った特別な利益を指します。
被相続人の財産は、本来法定相続分に応じて公平に分けられるべきものであると考えられています。
特定の相続人だけが多額の生前贈与を受け取っていた場合、その分を考慮せず残された遺産を法定相続分で分割すると他の相続人にとって不公平です。
この不公平を是正し、相続人全員の最終的な取得額のバランスを整えるのが特別受益の持ち戻しです。
民法では、共同相続人の中に被相続人から遺贈や特定の目的で贈与を受けた者がいる場合、その価額を遺産に加えて計算するルールが定められています。
特別受益の対象となる生前贈与
民法の規定により、婚姻や養子縁組、生計の資本のための贈与は特別受益の対象となります。
結婚する際の持参金や結納金、新居の購入資金の援助などが挙げられます。
特別受益の対象となる贈与は、被相続人の資産規模や家庭環境に照らし合わせて、通常の扶養義務の範囲を明らかに超えていると客観的に判断されるものが対象となります。
特別受益の対象とならない生前贈与
生前贈与は、親の扶養義務の範囲内で行われたものは特別受益の対象になりません。
また、それ以外にも以下のような贈与は対象外です。
相続人以外への贈与
特別受益の対象とならないものとして、法定相続人以外への贈与が挙げられます。ただし、実質的に相続人への贈与と見られる場合は、相続人への特別受益と評価される場合があります。
被相続人が孫のために教育資金を贈与した場合であっても、その孫が代襲相続人として相続権を持っていない限り、その生前贈与は遺産分割の計算に影響しません。
おしどり贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産やそれを取得するための金銭の贈与を行うことを、おしどり贈与と呼びます。
おしどり贈与については被相続人が持ち戻し免除の意思表示をしたものと推定されるルールが定められています。
そのため、この特例に該当する贈与は、原則として特別受益の持ち戻し計算から除外され、遺産分割における配偶者の取り分を減らすことなく財産を保護することが可能です。
特別受益が遺産分割に影響があるケース
特別受益に該当する贈与がある場合、遺産分割協議において持ち戻しという計算処理を行います。
生前贈与された財産の金額を、相続開始時に残っていた遺産の総額に足し合わせます。
この合計額をみなし相続財産と呼びます。
みなし相続財産を基準として各相続人の本来の取り分を算出した後、特別受益を受けた相続人は、自分の取り分からすでに受け取っている贈与額を差し引きます。
生前贈与を受けていない他の相続人の手元に残る財産が増え、全体の実質的な公平が保たれることになります。
なお、生前贈与の金額が本来の相続分を上回っていた場合、超過分を他の相続人に返還する義務はありませんが、残された遺産を新たに受け取ることはできなくなります。
なお、相続開始から10年が経過した後の遺産分割については、原則として特別受益の持ち戻しを行わず、法定相続分を基準に分割することになりました。
特別受益が遺産分割に影響がないケース
特別受益が遺産分割に影響がないケースとして、被相続人が自らの意思で、生前贈与を遺産分割の計算に含めないようにした場合があげられます。
これを特別受益の持ち戻し免除と呼びます。
特別受益の持ち戻し免除は、遺言書等で持ち戻し免除の意思を明確にすることで適用されます。
持ち戻しの免除は以下のようなときに有効な手段といえます。
● 家業を継がせるために後継者である相続人に事業用資産を渡したい場合
● 障害を持つ子どもの将来の生活費を贈与したい場合
被相続人の明確な意思が示されていれば、その贈与はみなし相続財産に加算されず、遺産分割の割合に影響を与えません。
ただし、特別受益の持ち戻し免除の意思表示があったとしても、生前贈与の額が他の相続人の遺留分を侵害している場合には、侵害分の請求を受けるリスクがあるため注意が必要です。
まとめ
今回は、生前贈与と特別受益について解説しました。
生前贈与が遺産分割に与える影響は、その贈与が特別受益に該当するか否かで大きく変わります。
結婚資金や住宅購入資金の援助は持ち戻しの対象となり、相続人間の取り分を調整する要因となります。
孫への贈与やおしどり贈与は、特定の条件を満たすことで持ち戻しの対象から外れ、遺産分割には影響しません。
生前贈与や特別受益について不安がある場合には弁護士に相談することを検討してください。
