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法定相続人の範囲とは?判断に迷うケースについても詳しく解説 (2025.04.11)
遺言書がない場合、被相続人の遺産は法定相続人によって引き継がれます。
配偶者や子、親、兄弟姉妹など、民法で定められた相続権を持つ人物が法定相続人です。
血縁関係以外でも養子縁組など、さまざまなケースが存在するため、慎重な判断が必要です。
本記事では、法定相続人として認められる範囲について詳しく解説します。
法定相続人について
遺言状が存在しない場合や、遺言内容で規定されていない遺産の継承については、民法によって相続権を持つ人物が定められています。
民法で規定された相続権を持つ人物が法定相続人です。
法定相続人は被相続人の配偶者と血縁関係にある親族によって構成され、血縁者については相続順位や遺産取得の割合に関して法律で明確な基準が設けられています。
法定相続人として認められる範囲とは
ここからは、民法で定められた法定相続人になれる人物は誰なのかについて、具体的に見ていきましょう。
配偶者は必ず法定相続人になる
被相続人が亡くなった時点で配偶者がいた場合、その配偶者は必ず法定相続人となります。
配偶者は被相続人と最も身近な関係にあった存在として認められるため、他の法定相続人とは異なり、常に相続権を持つ立場として扱われているのです。
ただし、配偶者の相続権は、死亡時点で正式な婚姻関係が存在している場合にのみ認められます。
事実婚のパートナーなど、法的な婚姻関係がない場合は法定相続人として認められません。
子は第1順位の法定相続人
相続の優先順位において、第1順位の地位を占めるのが被相続人の子です。
配偶者と子が存在するケースでは、両者が共に法定相続人として認められます。
孫が法定相続人となる代襲相続について
代襲相続とは、本来相続権を持っていた被相続人の子が既に亡くなっている場合に、その子の代わりとして孫が法定相続人となる制度です。
代襲相続の権利は実子の子供だけでなく、養子の子供にも認められますが、養子縁組後に生まれた子供に限定されます。
養子縁組が行われる前に生まれた子供には代襲相続の権利が発生しないため、注意が必要です。
親は第2順位の法定相続人
第2順位の法定相続人は被相続人の親です。
被相続人に子供がいない場合や、子供が相続権を放棄した場合、配偶者と親が法定相続人として認められます。
親が既に亡くなっている場合は、祖父母や曽祖父母といった直系の尊属が順次、法定相続人となります。
なお、法定相続人となる親の定義には血縁上の実親だけでなく、養子縁組によって親子関係が成立している養親も含まれる点も把握しておきましょう。
兄弟姉妹は第3順位の法定相続人
被相続人に子どもや孫などの直系卑属がおらず、両親や祖父母といった直系尊属も存在しない場合、または相続権を放棄した場合は、兄弟姉妹が法定相続人です。
兄弟姉妹が既に亡くなっているケースでは、その子供である甥や姪が法定相続人となります。
法定相続人として認められる兄弟姉妹は、被相続人の実の兄弟姉妹です。
配偶者の兄弟姉妹は法定相続人としての資格を持たないため、相続権の対象外です。
法定相続人かどうかの判断が難しいケースについて
法定相続人かどうかの判断に迷うケースが存在します。
以下のようなケースでは、法定相続人としての資格を持つかどうかを慎重に判断するようにしましょう。
離婚した配偶者との間に生まれた子ども
子どもの相続権は、被相続人との血縁関係によって判断されます。
前の結婚で生まれた実の子どもは、親権がどちらにあるかに関係なく法定相続人です。
一方で、再婚した配偶者に子どもがいる場合は、養子縁組の有無で決定されます。
被相続人と生前に養子縁組を済ませていた連れ子は、実子と同様、法定相続人となります。
ただし、養子縁組の手続きを行っていない連れ子は、法定相続人にはなれません。
内縁関係の配偶者との間に生まれた子ども
事実婚の両親から生まれた子どもは法律上「非嫡出子」と定められています。
婚姻届を提出している夫婦の子どもは「嫡出子」となります。
事実婚の子どもが法定相続人になるには、父親からの認知が必要不可欠です。
認知とは、婚姻関係のない父親が、実の子どもであることを法的に認める手続きを指します。
父親から認知を受けた子どもには、嫡出子と同等の相続権が法律で保障されています。
事実婚の場合でも、認知手続きを行えば子どもの相続権を守ることが可能です。
養子縁組をした子ども
養子縁組は、血縁関係のない人物と法律上の親子関係を結ぶ制度です。
養子は実子と同様、法定相続人となることができます。
法定相続人が見つからない場合はどうなるのか
親族がなく法定相続人が不在の場合、家庭裁判所が選んだ相続財産管理人が相続人を探す手続きを進め、見つからないまま一定期間が経過すると遺産は国の財産となります。
ただし、遺言書を事前に用意しておけば、お世話になった方や縁のある方に遺産を託すことも可能です。
生前に遺言書を作成することで、大切な財産を有効に活用できる道が開けます。
まとめ
法定相続人とは、遺言書がない場合や遺言で規定されていない遺産の継承について、民法で定められた相続権を持つ人物のことです。
配偶者は常に法定相続人となり、血族については子、親、兄弟姉妹の順で相続権が認められます。
また、養子や非嫡出子など、一般的な血縁関係以外でも法定相続人となるケースがあるため、相続人を特定する際には慎重な対応が必要です。
相続に関する判断に迷った際は、正確な法的判断と適切な手続きのためにも、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。